マンション売却時には確定申告が必要?

       

公開日:2024/04/03

確定申告

マンションを売却した人は、確定申告しなければならない可能性があります。しかし、税の申告にはさまざまなルールがあるため「自分は確定申告の対象なのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、マンション売却に際して確定申告が必要な人の条件と、確定申告の流れを解説します。控除を受けられるケースにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

マンション売却時に確定申告が必要なケース

自分がマンション売却により確定申告が必要となるかどうかを知るために、まずは確定申告をしなければならないパターンを確認しましょう。確定申告が必要な人は、以下のような条件に当てはまることが多いです。

・自営業や個人事業主で48万円を超える事業収入がある
・不動産や株取引の所得がある
・競馬や賞金などによる一時所得がある
・給与収入が2,000万円を超える
・副業や株式売買などをしている
・年末調整されていない収入が20万円を超えている

給与所得者は年末調整があるため、基本的に確定申告の必要はありません。しかし、マンション売却によって年末調整ではカバーできない所得が増えた場合、確定申告の対象となります。

ふだんは確定申告していないけれどマンション売却によって申告が必要かもしれないという人は、税理士などの専門家に相談のうえ、確定申告の準備を進めましょう。確定申告によっていつもより多く納税しなければならない場合もありますが、控除を受けられる場合もあります。

譲渡所得が発生する場合

確定申告が必要なパターンについて大まかに理解したところで、ここからは、より具体的な例をチェックしていきましょう。まずは「譲渡所得」が発生するケースです。

譲渡所得とは、マンション売却などで利益が発生した場合の所得を指します。この所得が増えれば増えるほど、納税する金額が増えると考えるといいでしょう。

反対に、マンション売却で損失が発生した場合は「譲渡損失」といいます。損失が発生した場合は課税の対象外ですので、確定申告する義務はありません。

譲渡損失を他の所得と損益通算する場合

譲渡損失が発生した場合に確定申告の義務はありませんが、申告することで税控除を受けられる可能性が高いです。少しでも節税したい人は、損益に関わらず確定申告の準備をしておくといいでしょう。

譲渡損失があるときに、利益と損失を相殺することを「損益通算」といいます。損益通算すれば利益を少なく見積もれるため、納税するお金を減らせるでしょう。

なお、通算を行っても控除しきれない損失がある場合は、譲渡した年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除できるケースがあります。マンションを売却した年の1月1日における所有期間が5年を超える場合、繰り越し控除を利用可能です。

居住用財産の3,000万円の特別控除を受ける場合

「居住用財産の3,000万円の特別控除」とは、譲渡所得から3,000万円を引いてくれる特例です。シンプルで利用しやすいため、自分が住んでいたマンションを売却する場合は積極的に活用すると大幅な節税になるでしょう。たとえば自分の譲渡所得が2,000万円だった場合、この特例を確定申告で申請すれば譲渡所得が0円になります。

ただし、この特例はほかの特例と併用できなかったり、居住用財産以外のマンション売却には適用されなかったり、さまざまな制限がある点に注意しましょう。災害によって滅失した家屋や取り壊した家屋など、場合によっては詳しく条件が規定されている場合もあります。

確定申告の基礎知識

マンション売却時に必要な確定申告の事例がわかったところで、ここからは確定申告の手順について把握していきましょう。まずは確定申告の時期と申請場所などについて紹介します。

確定申告できる期間

所得税について確定申告できる期間は、例年2月16日から3月15日までの間です。この期間中に申告する所得税は、前年の1月から12月までに発生した所得に関するものとなります。

たとえば2023年12月にマンションを売却した場合は、2024年の2月16日から3月15日に確定申告が必要です。2024年1月にマンションを売却した場合は、2025年の2月16日から3月15日に確定申告することになります。年度末ではなく年末で区切られているため、注意しましょう。

確定申告できる場所

確定申告できる場所は、税務署とe-Taxの2パターンです。税務署で確定申告する場合は必要書類に収入金額等と所得金額、経費などを記入し、領収書や契約書などの添付書類とともに提出します。

ただし、申告書類は郵送でも提出可能です。税務署が開いている時間に訪問できない人は、郵送またはe-Taxを活用して提出するといいでしょう。

e-Taxは、スマートフォンやパソコンを利用して確定申告できるシステムです。インターネット環境があればいつでもどこでも利用できるため、税務署に行く時間が確保できない人や、税務署から遠いところに住んでいる人に便利です。

電子証明書の取得など、改ざん防止手続きを終わらせた後、必要な事項を入力し、添付書類とともに提出します。

確定申告に必要な書類

マンションを売却した場合、確定申告で必要となる代表的な書類は以下の通りです。

・譲渡所得の内訳書
・確定申告書B
・申告書第三表(分離課税用)
・売却物件の売買契約書の写し
・売却物件の購入時の売買契約書の写し
・仲介手数料や印紙税などの金額が分かる領収書

契約書や領収書は税務署で取り寄せられないため、自分で保管しているもののコピーを用意しましょう。確定申告書や分離課税用の書類は税務署やe-Taxに用意されているため、わざわざ取り寄せる必要はありません。

申告は余裕を持って行おう

確定申告期間は1か月あり、余裕を持って申告できるようになっています。締切ギリギリに書類を提出すると、不備があったときに追加で確認することが増えてしまうのであまりおすすめしません

また、3月15日までに確定申告できなかった場合、無申告加算税や遅延税が課せられるケースもあります。期限を過ぎても確定申告することは可能ですが、できる限り期限内に書類を提出できるよう、前もって準備しておきましょう。

スムーズな申告のコツ

確定申告をスムーズに済ませるためには、譲渡所得税などの計算を事前にしておくことが大切です。マンション売却による譲渡所得は分離課税に分類されるため、給与所得とは合算せずに税額を計算しても問題ありません

なお、譲渡所得税は所有期間が5年を超える場合「長期譲渡所得」5年以下の場合「短期譲渡所得」とみなされます。所有期間が5年前後のマンションは、売却時期をずらすことで節税できるかもしれません。それぞれの税額を割り出す計算式は以下の通りです。

・長期譲渡所得税額の計算:課税長期譲渡所得金額×(所得税15%+住民税5%)
・短期譲渡所得税額の計算:課税短期譲渡所得金額×(所得税30%+住民税9%)

また、難しい計算が得意ではない人は、会計ソフトを使って申告する方法もあります。金額や税の種類を入力していくだけで自動計算してくれるので、自分で考える事柄が少なく済むでしょう。手動で計算するより数字のずれも発生しにくいです。

まとめ

マンションを売却した場合の確定申告について、どんな人が対象になるのかや納税の方法、控除が受けられるケースなどを解説しました。利益が発生しない場合は基本的に確定申告する義務はありませんが、節税できる制度を利用することで生活のプラスになる場合があります。

確定申告するだけで納税額が数千万円以上変動するケースもあるため、気になる人は税理士などの専門家に相談してみましょう。確定申告の時期は無料で書類作成のサポートをしてくれる税理士がいる相談イベントも開催されています。また、売却の際に仲介してもらった不動産の担当者に聞いてみることも効果的です。

行政や周囲のサービスを上手に活用しながら、節税のために確定申告してみてはいかがでしょうか。

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